私たちの暮らしの安全を守る、最も身近で、そして最も重要な防犯設備。それが「鍵」です。しかし、毎日当たり前のように使っているため、その重要性や、時代と共に求められる性能が変化していることに、私たちはつい無頓着になりがちです。空き巣などの侵入窃盗犯は、常に最も侵入しやすい家を狙っています。そして、彼らがその判断を下す最大のポイントが、玄関や窓の「鍵」なのです。「うちの鍵は、昔から使っているけど、ちゃんと閉まるから大丈夫」。もし、あなたがそう考えているとしたら、その認識は非常に危険かもしれません。なぜなら、ひと昔前の鍵は、現代のプロの窃盗犯が使う巧妙な手口の前では、もはや「ないよりはマシ」という程度の、極めて無力な存在である可能性が高いからです。例えば、多くの古い住宅で使われている、鍵の側面がギザギザした形状の「ディスクシリンダーキー」や「ピンシリンダーキー」。これらの鍵は、ピッキングと呼ばれる、特殊な工具を使って鍵穴内部を操作する手口に対して非常に弱く、熟練した犯人にかかれば、数十秒から数分で解錠されてしまうことが知られています。あなたが鍵をかけて外出したとしても、犯人にとっては、それはあってないようなものなのです。防犯の基本は、まず「自分の家の弱点を知る」ことから始まります。一度、ご自宅の玄関や勝手口の鍵を、客観的な目でじっくりと観察してみてください。それは、いつ頃設置されたものですか。鍵の表面に、複雑なくぼみ(ディンプル)はありますか。そして、ドアに鍵は一つしか付いていませんか。もし、これらの問いに少しでも不安を感じるのであれば、それは、あなたの家の防犯レベルを見直すべき、重要なサインです。鍵は、ただドアが閉まっていれば良い、というものではありません。それは、犯罪者の侵入意欲を削ぎ、家族の生命と財産を確実に守るための、強固な「盾」でなければならないのです。
防犯の基本は鍵にあり!我が家は大丈夫?