オートロック付きのマンションでの暮らしは、高いセキュリティに守られているという、大きな安心感を与えてくれます。しかし、その安心感に慣れ、油断してしまうと、思わぬトラブルや危険を招くこともあります。オートロックの恩恵を最大限に享受し、安全で快適なマンションライフを送るためには、居住者として知っておくべき、いくつかの注意点が存在します。まず、最も重要なのが、前述の「共連れ」に対する意識です。自分一人の油断が、マンション全体のセキュリティを脅かすことに繋がるということを、常に心に留めておきましょう。不審な人物を見かけたら挨拶をするなど、居住者同士のコミュニケーションも、コミュニティ全体の防犯力を高める上で大切です。次に、意外と多いのが「鍵の締め忘れ」です。エントランスがオートロックだからと安心してしまい、自室の玄関ドアの鍵をかけるのを忘れてしまう人が少なくありません。しかし、一度でも共連れなどで不審者が建物内に侵入してしまえば、無施錠の部屋は、最も簡単なターゲットとなります。オートロックは、あくまで第一の関門。自室の玄関ドアの施錠は、第二の、そして最も重要な関門です。必ず、外出時や就寝時には、施錠する習慣を徹底しましょう。また、「鍵の管理」も、より一層の注意が必要です。特に、非接触キーなどを紛失してしまった場合は、速やかに管理会社に届け出て、そのキーを無効化する手続きを取ってもらう必要があります。紛失したキーが悪意のある第三者に拾われれば、エントランスをフリーパスで通過されてしまうからです。そして、日常生活における注意点として、「新聞配達や宅配業者への対応」があります。オートロックマンションでは、これらの業者は、通常、専用の暗証番号やマスターキーを使ってエントランスを解錠します。しかし、稀に、早朝などにインターホンで呼び出され、解錠を求められることがあります。こうした場合は、安易に解錠せず、必ずインターホンのカメラで、制服や身分証などを確認してから対応するようにしましょう。オートロックは、決して万能な魔法の壁ではありません。その性能を最大限に活かすのは、そこに住む私たち一人ひとりの、日々の小さな防犯意識なのです。