防犯ロックの最高峰として名高いABUSのグラニットシリーズやKRYPTONITEのニューヨークロックなど、数万円もするような最強クラスのU字ロックを手に入れた時、多くの人は「これでもう絶対に盗まれることはない」という絶対的な安心感に包まれるものですが、残念ながら防犯の世界において「絶対」という言葉は存在せず、最強のU字ロックであっても決して無敵ではないという冷静な認識を持つことが大切です。現代のプロ窃盗団は、コードレスでハイパワーな電動工具を常備しており、特にダイヤモンドカッターを装着した充電式のディスクグラインダーを使用すれば、どんなに焼き入れ処理が施された超合金のU字ロックであっても、数分、早ければ1分程度で切断されてしまうというのが物理的な現実であり、深夜の人通りがない駐輪場や、騒音が多少出ても怪しまれないような環境であれば、最強のロックも彼らの前では単なる時間稼ぎの道具に過ぎません。また、U字ロック自体が破壊できなくても、ロックを取り付けている対象物、例えばガードレールのパイプや金網の方を破壊して持ち去るという「母体破壊」の手口も横行しており、この場合はロックの強度は全く関係なくなってしまいますし、あるいはロードバイクなどの場合、ロックがかかっているフレームのパイプそのものを切断してパーツ取りのために持ち去るという、常識では考えられないような荒っぽい手口に遭う可能性さえあります。さらに、ピッキング技術に長けた犯人であれば、鍵穴から音もなく解錠してしまうかもしれませんし、合鍵を不正に入手されるリスクもゼロではありません。したがって、最強のU字ロックを持っているからといって油断して長時間目を離したり、危険な場所に駐輪したりすることは自殺行為であり、あくまで「盗難までの時間を最大限に引き延ばすツール」であると割り切り、アラームやGPSトラッカーなどの異なる種類の防犯グッズと組み合わせたり、そもそも盗まれにくい場所に停めたりするといった総合的な対策を怠らない姿勢こそが、真の意味で愛車を守ることにつながるのです。
最強のU字ロックでも絶対に安心できないワケ