頑丈で壊れないイメージのある金庫ですが、実はメーカーが定めている「耐火性能の有効耐用年数」という寿命が存在し、それは製造からわずか20年とされていることをご存知でしょうか。これは日本セーフ・ファニチュア協同組合(日セフ連)が定めた基準であり、金庫の内部に充填されている耐火材(気泡コンクリート)に含まれる水分が、経年変化によって徐々に気化して失われていき、約20年を経過すると火災発生時に十分な蒸気を放出して庫内の温度上昇を抑えるという本来の耐火性能を発揮できなくなる可能性があるためです。つまり、見た目はピカピカで扉の開閉に問題がなくても、20年以上前の古い金庫を使っている場合は、万が一の火事の際に大切な財産を守れない「ただの鉄の箱」になっているリスクが高いのです。したがって、金庫の処分や買い替えを検討すべき最も適切なタイミングは、製造から20年を迎えた時であり、金庫の扉の裏側や側面に貼られているステッカーや刻印で製造年を確認し、期限が迫っている、あるいは過ぎているようであれば、迷わず新しい金庫への入れ替えを計画すべきでしょう。また、耐用年数以外にも、ダイヤルの動きが悪くなった、鍵が回りにくくなった、扉が閉まりにくいといった物理的な不具合が出てきた時や、オフィスの移転、自宅のリフォーム、あるいは相続によって不要になった時なども処分の良いきっかけとなります。古い金庫を処分して最新の金庫に買い替えるメリットは、耐火性能の回復だけでなく、防犯性能の向上にもあり、最近の金庫は指紋認証やテンキー式、ICカード式など使い勝手が良くセキュリティの高いロックシステムが採用されていたり、バールによるこじ開けに強い構造になっていたりするため、より安心して資産を管理できるようになります。金庫は一度買うと一生モノと思われがちですが、家電製品と同じように寿命がある消耗品であるという意識を持ち、定期的に見直して適切な時期に更新していくことが、真のリスク管理と言えるのです。
金庫の寿命と買い替え・処分のタイミング